― しばらく後・クラタエグス砦 ―
[ 上げた名乗りの効果は、それなりにあったようだった。砦の指揮官である貴族にはことのほか ]
『バルト候だと!…本当か?!』
[ 目の色変えた表情は、どちらかというと戦略ではなく謀略を計算し始めたという顔で、慌てて尋問を中断すると、彼はそのまま、砦の営倉へと収容された。
捕虜を監禁するのは、本来地下牢だったようだから、死なせないように、という、配慮が働いた結果らしい ]
は…親父に、感謝するべきかな?
[ 曲がりなりにも寝台も毛布もある部屋に入れられただけでも重畳だ。皮肉な笑みを頬に刻み、彼はまだ自力で動く事は出来ない身体を横たえる ]