― ミリカ村 ―
[ レトから、竜人の名を聞いたファミルが僅かに身を震わせたのが判った。>>106 ]
(知ってるのか?)
[ 口に出かけた問いは飲み込んだ。それを問えば、必死で自分を保とうとしている相手の張りつめた糸を切ってしまうかもしれない。そう感じて ]
……幽閉されていた、てことは、喜んで協力してるってわけでもないかもしれねえが。厄介には変わりないな。
[ 代わりに、思考を先へと延ばし、取るべき道を探ることに専念する ]
帰る、てのは賛成だが、元来た道を通るのは危ねえ。
連中が合流しようとしてるなら、鉢あわせることになる。
[ピィー!と、短く鋭い口笛を吹くと、繋いでいなかった黒馬が霧の向こうから早足で近付いてきた]