[王の財が欠け、仇成すものへと転じた光景は己の胸に苦いものを溜めた。 あと一歩と踏み込んだのに、精彩を欠いて勇者を仕留め損ねたのも同じ理由。去り際、支え合う二人を見やり、瞳を歪めた訳は。 人に変わった娘の裏切りを憎んだか。 それとも、人を変える勇者の聖光を疎んだか。 看過出来ぬと聖魔剣の強き輝きに、一層の険が帯びた。*]