― 回想:戦場 ―
[その戦闘は、互いに少しばかり間の悪い物だった。
氷竜軍では。そして誰より、異国の傭兵の中ではどう認識されているか知る由もないが。自分は、そう結論付けていた。]
動じるな!
構わぬ、今は引け! 体勢の整わぬ今、これ以上悪戯に犠牲を出すな!!
[兜から流れる鮮血。参謀と衛生兵を伴わせ、部隊長を乗せた馬を後陣へ走らせたが。……持つまい。その言葉は、呑みこんで。
対する氷竜の部隊。
数で言えば決して不利な戦ではないが、度々兵士の中から聴こえる金褐色の戦士や真白の軍服に、どうやら歩兵の一部が逃げ腰の様子で。]