─ クライナー・テラー ─
[ ビルトラプターの脚部に一度脚をかけてから、背伸びして手すりを掴み、
腕の力で体を引き上げて腹部のコクピットに身を滑り込ませる。
開いた時の逆操作で、ハッチを閉める。
ぱしゅ、と軽い音がして、コクピットは完全に密室となる。
……ぶぅん……
パイロットを認識し、ラプターは待機モードから復帰する。
普段は気にならないかすかな起動音が、僕の身を包んだ。 ]
……もう少しお利口にしててね、ラプター。
今の僕らに、翼はないんだ。
[ 同僚の援護を断り、単騎出撃したことが響いている。
大型航空機シュヴァンに乗せて貰って来れば、索敵だって移動だってもっと簡単だったはずだ。
でも。 ]