[そしてもう一通。青年の幼馴染に当てた手紙が残されていた。]
オットーへ
ヨアヒムがいなくなったのに、今度おれが村を去って、お前一人残すことになってしまってごめんな。
お前のこと、すごく大切な幼馴染だと思っているよ。これからもずっと変わらずに。
ヨアヒムがいなくなった直後、おれのこと「大切な幼馴染だ。」って言ってくれて嬉しかった。
無理矢理言わせた形になったのは申し訳なかったけど、あれだけは直接お前の口から聞きたかったんだ。
お前に言いたいこと、伝えたいことはたくさんありすぎて、書ききれない今は、一番大切なことだけ残します。
もし二度と会えなくなったとしても、お前のことは絶対忘れないよ。お前の幸せを祈っている。
だからもし辛いことがあったら、村を渡る風に、夜輝く星に、途切れることなく流れる川に。そっと託してくれ。
傍にいて支えることはできなくても、お前の苦しみが少しでも軽くなるといいなって・・・そう思っているんだ。
さようなら。
Jacob=Enzensberger