[冷たい刃が、こちらの胸から背へ通り抜ける。 突き抜ける痛みと同時に、酷い悪寒が全身を駆け巡り、視界が急激に暗くなる。 しかし眼差しは、最期の瞬間まで己を討った相手を捉えようと、彷徨う] ――い、つか、兄に……。 セドリック・アルニムに会うことがあったら……。 弟は、望むままに生きた、と……。[軍人、しかも現時点で敵対している相手が、兄と会う機会があるとも思えない。 それでもいつか、これを耳にした誰かから伝わることがあればいい、と。 意識が途切れる間際の、縋るような願いを託す]