[ 見えない赤い回線は、
心の持ちよう一つで消えてしまいそうで怖かった。
赦されたいと、死にたいと願ったときに。
なんの前触れもなく、ふっと、聞こえなくなってしまうのではないだろうかと。
だから。
『殺されたい』それは、決して声に出せない、本音の言葉。
瞳に宿った"兄"を、もう一度は殺せないと自らをだまし。
罪は償わなけれはならないと、いい聞かす。
不確かな赤い回線を断ち切らせる訳には、いかないから。
だから。
殺して欲しい、と、声哭き声で叫ぶのだ。袋を被り、誰にも聞こえない哭き声で。
兄と同じものの手によって殺されれば、それは、きっと『赦し』になる。
そうでなくとも、それはきっと『罰』になる。 ]