[執務室。三日の期間で漸く調べ上げられた、諜報兵達の報告資料を男は、その三白眼に静かな殺意すら載せて眺めていた]
… … …あの決起集会の日、シュビトに存在したであろう大まかな者は。
王府軍、解放軍、スルジエの手の者、そして異邦人達、か。
王府軍の為拠点を抑えた。解放軍と接触及び後援。
…まあこの辺りがありえるだろう情報は予想通りだ。
余りに予想通り過ぎて、この程度の情報では追い詰められん。
部下の独断、虚偽情報の交錯、言い逃れる術は幾らでもある。
腐り果てても貴族、簡単に落ちるなら。
今頃私が、全てのサトウキビ畑の利権を得ている。
[当日にシュビトに存在した領民や、残留した一部の学生、時には王府軍の騎士や兵。
断片的にそれらから集めた情報を繋ぎ合わせて浮かび上がる情報は、然しそれ単体ではセルジエ領主を追い落とすには足りない物]