[相手から是を受ければ、刃を下げて一礼する。霧が退く間に腰から弩を外し、手近な相手(公子以外の)に押し付けておいた。純粋な斬り合いでは邪魔になるものだし、使うタイミングも無いだろう。騎竜師ならば竜を呼ぶか、とも思うが、あの男は呼ばないだろう。そんな気がした。仮に自分が騎竜師ならば竜に跨った相手と──相手の全力とやり合えたかとも思うが、無駄な想像はほんの瞬きひとつほどの間に留める。相手が構えた槍の光が、瞳に反射して煌いた。]