―― 回想・窮鼠虎を噛む ――[勇者の腹を深く裂いた爪は、その時もヒタヒタと赤く濡れていた。 黄金の瞳は憤怒に染まり、彼らを見下ろす眼差しは重圧を持ち。>>104] 殺し損ねたか。 貴様はよくよくしぶといな、勇者よ。[果敢に挑もうとするは勇者の性か。 勇気のみで奮い立とうとする姿を一瞥し、心の蔵を貫くため、腕を振りかぶり。] ……ッ、[そこへ飛んできたのは、いつか己が教えた力の使い方。 彼女の腕には剣も棒も重いと、勧めた一条。>>83]