― 城内 ―[歩み入った城から案内のものが出てくる気配はなく、あらかじめ申し渡されていた通りに古城の奥へ足を進める。いくつかの扉をくぐり複雑な回廊を抜け、足の向くままにたどり着いた場所は書の香りが満ちる場所だった。古今東西の貴重な古書が並ぶ部屋をざっと見渡し、書の題名を確認しようとするより先に、人影に目を留めた。>>115] ! ……・。[口を閉じたまま、邪魔をしたと謝罪する仕草をする。]