(今生の別れ、か)
[学生仲間がばらばらに散っていくことは、もちろん寂しかった。
でも以上に、その寂しさを忘れていくことが、会えないなら会えないと割り切り、会わなくてもいいと思うようになっていったことが何よりも寂しかった。それももう記憶になってしまったけれど。
けれど、それは目の前の、まだ未来のある青年に伝わるだろうか。そう思って口には出さない]
ふふ、そんなものですよ。
古本屋の仕事はおやじから継いだんです。古書雷鳴堂っていってね、おやじは最初から私につがせる気でトールって名付けたらしいです。
全く、文学に携わる者としてこのネーミングセンスは酷いですよ。
ま、性には合ってますし、なんだかんだやってますよ。
[そんな他愛ない話を続ける。しばらくたち、特に何もなければ、仕事をするために書庫へ*向かうだろう*]