[既にシルキーは何処かへ移動しているようだ
集会所から宿へと続くメインストリートに人影は無い。]
[――己の背後に浮かぶ満月が コンクリートに影を造る。
それは毎夜宿へと戻る際に見ていた自身の影だった。
唯一それまでの夜と違ったのは、『腕』
人間の体躯とは明らかに異なる―――歪な形の凶器。
月夜に映る今の自分なら―――『人狼』の己ならば
シルキーと、もう一人が交わす密談の声を頼りに
組織達の秘密の合流場所を掴むことは、容易いだろう。
集会所から人が出てくる前にその身を素早く闇夜に翻し
不気味なまでに静かに黙する夢現の村の中を駆け出した。]