[嘆きが形となって溢れずに済んだのは、本人の努力の結果ではなかった。駆けつけていた治療師が、汗を拭き拭き説明する。曰く、仮死状態に保つ術を使ったと。暫くは容態の悪化を食い止められるが、無事に目覚めるかは本人の体力と意思しだいだという説明を聞いて、幼馴染の冷たい手をきつく握る。] 絶対、帰ってこいよ。 待ってるからな。絶対だぞ。[幼馴染に掛ける言葉は、祈りのようでもあった。]