嗚呼、そういえばお前はさっき死にたくないって教えてくれたな。あのときは上手く答えられなかったけど、今ならようやく言える。
死にたくないって思うのは当然だ。僕はアルビンを自分勝手とか、最低とかなんて全然考えてないよ。
でもそう願うなら。酷なようだけど、この場ではそれを貫け。
ヨアヒムに死んで欲しくないと思ったように、アルビンにだって死んで欲しくない。
せめて最期のお願いだけは、不完全な形ながら実行しよう。お前が僕の死ぬところ見たくないっていうなら、僕は談話室では処刑されないよう、シモンにお願いしてみる。アルビンは来たくないなら来なくていいよ。
[それは処刑は免れるよう抵抗はしない、という意味でもあった。
幼馴染の顔を見るのは怖かったけれど、笑顔を浮かべてみせる。アルビンの記憶に残る自分が情けない表情なのは嫌だったから。
さてアルビンは何と答えただろうか。それを待つべく、一旦口を閉ざす。]