[失踪した青年の祖父にあたるモーリッツと言う老人宛の手紙の内容は以下のものだった。]
モーリッツじっちゃへ
22年間おれを育ててくださった恩を仇で返すような真似をしてごめんなさい。
わがままだとは分かっていますけれども、おれは今持っているもの全てを捨ててもついていきたい、大切な人ができてしまいました。
その人とずっと一緒にいたいから、おれはこの村を離れます。今度じっちゃといつ会えるかは分かりません。
もしかしたら、こんな勝手な真似をしたおれと二度と会いたくない。そう思われても仕方ないけれども、おれがじっちゃを大切に思っていることは本当です。
どうか体を大切にしてください。元気で長生きできるよう、遠くから祈ってます。
さようなら。愛しています。
Jacob=Enzensberger