― デメララ・収容施設 ―[外の騒ぎに気付いた収容者もいたものの、すぐに逃走に移れた者ばかりではなかった]「どうしました? 逃げていいんですよ」「外に行けば私たちの仲間が待っています!」[そうした呼び掛けに、動かぬ者から返るのは虚ろな眼差し。 長い収容所生活が、体力以上に気力を奪っていたことは明白だった] やっぱり……。[そうなる可能性については、事前の話し合いでも上がっていた。 フレデリカは周囲の仲間に視線を送りつつ、一歩進み出る]