[ 挨拶回りの途中で、ナイジェルの姿を見つけた。下士官たちが行き来していることからも、細やかで実務的な差配がいろいろとなされていることだろうと思う。今回の遠征においてナイジェルの地位は軍団長だ。その立場に求められるよりずっと苦労人の役割を果たしているように見える。伯爵家の三男でありながら、浮いた噂のひとつもない青年だった。] 整然として美しい。[ 何が、とは言わずに賛辞を送り、近くまで歩いてゆく。]