[ もしも。
船員の彼が思ったことを更に口に出していたならば>>103
ローの嫌いな人間のパターンが増えていたに違いない。
……つまり、この「名も知らぬ船員」というパターンだ。
選ばれた人間が選ばれた人間であるためには
何を捨ててもその地位にいたいのだというような
強い意思を持っていなければいけない。
…特に子供がその仲間入りをしようとするならば、尚更。 ]
[ ロー・シェンには親がいない。
事故で亡くなったと聞いていた。
物心ついてからは年の離れた兄に育ててもらったようなもので
それ故に、一般的な"子供"としての日常は送ってきていない。
もしも。
船員の彼が小さな学者に手を挙げていたらどうなっていたか。
…彼の身には、何も起きなかっただろう。
翌月、差し押さえの書類が送られて傷害の慰謝料が
彼の給料から天引きされるようになるくらいのもので。 ]