[最後にもう一度湯を浴びて脱衣場へ戻る。
入る時には気づかなかったが、脱衣籠の傍には、白地に灰の花模様が美しい浴衣があった。
ご自由にどうぞ、という張り紙も見つけ、有難く頂戴することにした。
手拭いで全身を拭き、浴衣に袖を通し、帯で絞めて見たものの…。]
…うーん、あれ?
ウェルシュ、これ、どうやって着るのですか…?
[着衣の名称は知っていても、着付け方は知らず。
とりあえず前で交差させただけの浴衣は胸の谷間や素足が露出する。
下駄をカラコロ鳴らしながら待ち合わせ場所に現れ、其処に従者の姿を見付けることができたら、心底困った顏を見せ、縋る視線を送った。]