そう考えはするものの、結論は常に決まっている。自身にはどうすることもできない。他人の願いを聞き、それに応えることしかできない自身には、彼に「どうしてほしい」といった願いを持つこともできず、ただ彼の望みに応えることしかできないのだ。
だからこそ、彼にはやりたいように仕事をしてもらっているし、自身の焼くパイは彼の期待に応えることができているのだろう。自身には、これ以上のことはできないし、何より現状、この生活が気に入っていたりする]
ペーターが何か果実を抱えてくるかもしれないけれども……それならそれで追加で焼けば良いか。
[呟くと、ペーターの笑顔を思い浮かべる。今日も満足してもらえるようにと、自身でも気が付かないような願いを込めて]