― 現在:クラタエグス砦・食堂 ―
[匙を遊ばせる合間、首元の片翼を弄ぶ中。
>>53掛けられた声に我に返り。顔を上げれば、対面を陣取る褐色に、曖昧に頷いた。
……ざわめきは、慣れた物。その更に背後、隅に見えた>>105竜人の娘と一瞬視線が合った気がしたが。気のせい、かもしれない。]
そうだな。
幾ら噛んでも噛み切れん河童頭が、折角港まで向かったなら焼き魚でも手土産にしろと、煩いんだ。
……大人しく河童巻きになっていればいいのに。
[>>56無遠慮な物言いに淡々と返し、再び匙を口に運ぶ。
下士官や少年兵の間で、砦の一角を担うとある貴族の上官を東方の怪物に例えてそう呼んでいるのは知っている。かつ、その上官がいつかの戦で若干の劣勢に陥った折、己の部屋で毛布に包まり震えたまま指示すら出さずに震えていた様を、誰からともなく“河童巻き”と呼びだした事も。]