― 繭 ―
[許可を得た天の子は、群れ飛ぶ下級天使の中から波長の合う者たちを選び、呼び寄せた。その数おおよそ、アディリエルが率いていたほどであろうか。
中でも特に響き合う二体を呼び寄せ、それぞれの額に触れる。]
In nomine Domini
Vestri 'mutantur in species
[主の御名において。
囁きかけるほどの声音で呪を編み、触れる指先から術を注ぐ。
二体の天使は溶け合うように一つになり、姿を変えた。
それは車輪の代わりに翼を備えた、古代の戦車のよう。
引かせる馬がなくとも自在に飛ぶ戦車は、乗り手を受け入れればその周囲を