ならず者 ディーター

［だから、別にカタリナに限った反応ではないだろうし、失礼だということもないだろう。事実なわけである故に。

ディーターが金狼様と聖人セイラ様の伝承系の話に強いのは、子供の頃に焼き付くほど読み込んで、丸暗記して、叩き込んだからだ。

ディーターが金狼様と聖人セイラ様の伝承系の資料や本の位置を迷いなく言い当てられるのは、ひとえに元通りに管理してくれているクララのおかげでもあるのだ。
きっと村の誰もが、そうだと知っている。

お酒を「本当に程々にしようよ」と言う彼女に、「そのうちな」とまた適当なことを返す。

大丈夫、疑う方がたぶん普通だから。
だって、過去に浴場で吐きかけて桶一個ダメにしてるからね、この男。*］