[ 引き受けた、任せろという、チャールズの言葉は、どこか心の深い場所から想いを滲ませているように、カスパルには聞こえた。>>108
決然として異形の前へと躍り出るその背は、まさに雄々しき鉄壁そのもの ]
はっ!
[ チャールズと異形の激しい攻防を視界に収めながら、カスパルは馬の腹を蹴り、唸る鞭を搔い潜って、その足元へと疾駆する。
毒の鞭持つ右腕はチャールズによって、封じられたが、異形の左腕と両足はまだ自由だ ]
[ 近づく人馬を嫌い、払いのけようと左腕が大きく振られたが、絶妙のタイミングでチャールズが鞭を搦め捕った戦槌を強く引く。
狙いの狂った腕の一撃を、カスパルは身を低くして躱し、そのまま異形の両足の間へと疾駆して、潜り抜けざま、異形の右足の付け根に向かってダガーを投じる。
その刃が、狙い通りに化け物の足元を乱せたかどうか、更に追撃があるかは確かめもせず、振り向く事も無く、前へと駆けた ]