― 数年前 ―
守るため、か。
[ 強くなりたいのだというエドルファスに、医師の養子である彼が、なぜ、それを望むのか?と尋ねた時、返された答え.........その時の、若者の瞳の中に、遥かな平原の広がりを、力強く吹く風の気配を感じたような気がしたことを覚えている ]
彼は、いつか.........
[ 別れ際、彼の養い親に、感じた事を伝えるかどうか躊躇いながら口にすると ]
『ああ、あの子はいつか、平原に帰るだろう』
[ 当然のこと、と言うように、そう口にして、だが、それまでは自分の息子だ、と、暖かな笑みを浮かべた元軍医に、彼もまた頷いて微笑み返した** ]