……ね、オト。 今は、ぼくがいるから泣いてもいいけど。 次は、オトがお兄ちゃんになる番だからね。 ちゃんと、みんなを守ってあげてね?[帰り道、泣きじゃくる弟分にそっと告げた言葉。この頃にはもう村を出て見聞を広める決意を固めていたから、後を託すような気持ちも少しだけ含んでいた。遠い昔の、ささやかな想い出。忘れ難いそれは、帰郷してからは少しだけ、辛いものに変わっていた]