……そろそろパイでも焼いておこうか。
[これまでの思考を薙ぎ払うように言葉を紡ぎだす。頭に浮かぶのはこの店に身を寄せるペーターの姿だった。
どうにも彼は村人の役に立っていると実感できることが嬉しいらしい。かく言う自身も、彼からの気遣いを感じることは少なくない。
ただ、それでいいのだろうかと考えることはある。別に彼が働き者であることは悪いことではないし、むしろ素晴らしいことだろう。しかし、子供というものはもっと遊ぶべきではないのだろうか、と。
子供が娯楽に興じるというのは、「そうした方が良い」だとかそういった仮言的ものではなく、「そうあるべきだ」という完全な当為的なものであるはずなのだ。