― シュヴァルベ・前線某所 ―[偵察任務は徐々に地形探査から捜索、索敵へと移行していった。部隊による威力偵察と並行して、少人数での隠密偵察も行われ続けている。男は自ら志願して、そちらに配置されていた。上も、集団行動より単独任務が向いていると知っているのだろう。敵を隠れてやり過ごす。発見されても逃げる。それを繰り返して、……幾度めか。前方を動く人影に気づき、そっと身を隠した耳に、――……ある単語が滑りこんだ]