― 氷竜軍・軍営 天幕 ―
[ 思わず触れた頬も、重ねるように延ばされた手も、僅かに温度は低く、その力は弱い ]
ずっと、じゃねえよ…これでも、結構忙しいんだぜ?
[ 言ってから、今度は少し柔らかい笑みを浮かべることに彼は成功する ]
…けど、今居られて良かった。
[ 続いた声と共に、ファミーユの手を、もう一方の手で軽く握り、宥めるようにそっと叩いた ]
リーゼロッテも戻った…レトもシュテルンもキアラも無事だ。
[ きっと意識がはっきりすれば、真っ先に気にするだろう事を先に伝えて ]
軍の事は、俺が預かってる。…こないだの戦闘は痛み分けだったしな、当分どっちも動けやしねえ。
安心して、もうしばらく休んでな。
[ 話すべき事が終わっても、触れた手を離すことが出来ないのだけが、誤算といえば誤算だった* ]