[促されるままに目を閉じれば>>116、視界がシャットダウンされた分、他の感覚が鋭くなる。
羽毛のように軽く、触れては離れて行く熱に喜びを覚えていたが、なかなか体から抜けた力は戻ってこない。
そのまま彼の腕に体重を預けてしまっていたが、不意に浮遊感を感じる。
一瞬の後には座る形になっていた。太ももの下に熱を感じて、再び強く抱きしめられる。
緊張のあまり自分が全体重を彼に掛けている事などすっかり忘れて、身を固くしていたが。
閉じた瞼の先が暗くなる。光が遮られたようだ。
その疑問を昇華する間もなく、訪れた唇の熱に頭が真っ白になる。
そうして、後からじわじわ胸の裡に起こるのは暖かな感情で。
いつしか傍らの熱に尚寄り添いたい、と自らも縋りつくように彼の首に腕を回した。]