… … …まずはオルヴァル卿だろうかな。 放蕩息子ひとりならば、彼の卿も易々と切り捨てよう。 然し、今も尚、クローディアの婚約者である私がこちらに入ればどうだ? ふふ、彼の逃げ場はやがて狭まり、解放軍に着く選択肢すら生まれる。 ひとりよりふたり。オルヴァル卿を懐柔できれば、貴族諸侯の流れも揺らぐさ。[何より、婚約者である彼女とて、兄と対する立場は取りたくはないはずだ。彼女の説得も多少は力になろう。諸侯へ向ける檄を綴る筆と、そして高まりつつある戦への気運が、窓の外から聞こえていた]