― 回想 ―
よろしくお願いします!
[軍務に就いてすぐに配属されたのは、父のつてがあるとかいう部隊だった。
隊長は有名な軍人家系の出だというけれども、正直、最近あんまりいい話は聞かない。なんでそんなところに、と思っていた印象が、一週間後にはもうがらりと変わっていた。
鍛錬の時に掛けられる言葉は、ちゃんと理解して実践すれば驚くくらいに動きが変わったし、稽古をつけてください!と押しかければ面倒くさがらずに相手をしてくれた。
その分稽古は容赦なかったけれど、認められるのが嬉しくて、もっと認められたくて、相手が暇だとみるやすぐに稽古をつけてくれと頼みこんでいた。
『教練時代に槍の稽古つけてた連中』が誰だか知らないけれど、熱心さならオレの勝ちだろ、なんてことも思っていた。]