[一度だけ──本当に、一度だけ。
心の隙間に溜まっていた澱、それを突かれて。
錆びついた剣を湖に投げ捨てようとした事があった]
だってさ、おもったいんだよ、コレ!
俺にしか持てない、俺にしか輝きを戻せない……とにかく、俺にしか出来ない事、そればっかり積んできてさ!
……先祖が勇者だったからとか、そんだけの理由で、なんで俺だけこんな苦労しなきゃなんないんだよ!
…………きっついんだよ、ホントに…………。
[それまで抑えていたタガが外れて、ぶちまけたのは現状に対する辛さと内側の弱さ。
それに対して返されたのは、さて、なんだったか。
いずれにせよ、剣を投げ捨てる事自体は、フランのお陰で思いとどまれて]