―― 回想・とある兄妹の話(つづき) ――……っ、そういうヴェルの声のほーが大き―――って、あわわ。[声が大きい、という突っ込む声に返す声もまた――という不毛じみたループを打ち消すべく、>>52片手で自分の口をふさぎ、もう片方の手は兄の顔の前であわあわと揺れていた。そのままいくばくか硬直した時間を過ごしていたが、「まだ寝ているのか」と親のどっちかに言われることはなかった]