[ す、と眼前にシャムシールを持ち上げ、血に濡れたままの左手の鉤爪を、その刃に滑らせる。鈍銀に薄らとかかる緋の陰は、それが不吉な毒を帯びたと報せるもの ]欲しいなら、来い。[ いつでも相手になる、と口の端を上げる。けれど、自分から仕掛けぬのは、未だ身に帯びた傷の手当が終わっていないせいだ。血を流したまま戦うということは、全身に毒を帯びたまま戦うのと同義だ。それは、双方にとってチャンスであると同時に、リスクでもある ]