[この季節になるとどうしても「死」という言葉が脳裏に過る。昔から、体の芯を直接伝うような冷気には、不吉さというものがどうにも纏わりついて切り離せない。不快感を抱いてしまうのが常だ。
だからと言って、別段不安になるだとか、そういった小動物のような愛らしい理由から抱く不快感ではない。空虚なのだ。この季節は、この上なく。そしてそれが――]
――僕に似ている。
[それは紛れもない同族嫌悪だった。勝手に同族だと思われて嫌われるなんて、冬という季節もたまったものじゃないだろう、などと考えはするものの、不快感は拭い去れないのだ]