『で、話を戻すぞ。 ――俺は、お前と契約する前に一人の女と契約してた。』[女?と、首を傾げる姿には目もくれず狼は喋る] 『そいつは……もうここには居ない。 大切な人間を守るために身を挺してそいつを守り、殺された。』 (…………。)[大切な人を守るために殺された。その言葉に目を伏せる。あの時、自分が外にいなければ――自分も大切な人を守ることができたかもしれないのにと] 『でな、そいつは俺にこう言った。』