[女性だったものが血だまりと残骸になった頃、ようやく満足した羆は顔を上げ、身震いする。全身に被った赤を振り払ったあと、黒の剛毛もまた、ばらばらと抜け落ち、消えていく。やがて、羆は人間の姿を取り戻す。なにがあったのかという呆然とした面持ちで、目の前の惨劇を見つめ、前に立つふたりを見つめた。] …、―――…[上げそうになった声を呑み、息を零す。血塗れになった自分の手に気づいて、ゆるゆると瞳を見開いた。]**