― 旅路の記憶 ―
[旅立って間もなく、唐突に現れたエルフの巫女。
最初は全力で逃げようとしたし、その後も隙あらば逃げようとした。
けれど、何だかんだで捕まって。
自分にはない力を持つ彼女に、何だかんだと頼る機会も増えて行った]
……いや、俺は『勇者』じゃないんだけど。
でも、俺にできるなら、なんとかやってみる。
[魔物に脅かされる小さな村に、救ってくれと頼まれると、決まってこんな事を言っていた自分は、さて、どんな風に見えていたやら。
この頃はそんな事を考える余裕もなにもなかったけれど。
繰り返されるそれは、確実に、心の一部を蝕んでいて]