―食料庫―
[エルナを連れて来たのは食料庫だった。
この時間ならば誰かが来ることもないだろうし、自分の部屋に連れ込むというのも些か抵抗がある。
2人になればその手を離し、ばつの悪い顔で謝罪した]
……済まない。驚かせた、いや、怖がらせてしまったかな。
シモンさんにいろいろと言われて、自分が今まで縋ってきた教えを、自分のすべてを否定されたようで……どうしても、抑えることが出来なかった。
[深く、深く、息を吐く。
髪に付いた雪が溶け、ぽたりと足元に水滴が落ちた。
本題に移ろうと、口を開きかけ、そして閉じ、漸く選んだ言葉も……飲み込んだ]