― 『神魔の領域』 ―[森の中を歩き続けるうちに、異質な臭いに気づいた。血臭。それもまだ新しい。長い年月を森で過ごすうちに覚えた感覚が、導く。やがて、前方が明るくなる。梢がわずかに途切れているのだ。小さな泉が木々の間から見える。傍に佇む馬と、人の影も。>>51] 誰か。[近づくより先に、誰何の声を投げた。後ろ姿の髪色が誰かを思い出させて、疼く。*]