― 自室へ戻る途中 ―
[自室へ向かうわたしを案内してくれたのも、白狼騎士団の一人だ。わたしよりも少し若い。聞けば自分と同じく、赴任されたばかりの新人だという。
やはり、自分と同じように総督の洗礼を受けたようだ]
そう、厳しいお方ね。
でもあのように厳しいからこそ、この要塞は近隣諸国からの攻撃を防ぎ、国を守っているのだわ。
[私語を他の騎士に咎められるかもしれないから、声を潜めて言葉を交わす。
できるだけ優しく接して理解を示す。
ここでは特に周囲に溶け込み、一人でも多くからの信用を得なければならないから]