―― 少し未来 / 自室 ――
[そして、これはほんの少し、未来のこと。
けれども、少なくとも今日のうちのこと。
もしこれから“何か”が起こるとするとしても、それよりは、確かに前のこと。]
ん……
[遠のきかけていた意識を揺り起こしたのは、端末からの呼び出し音。
うっすらと目を開けば、揺れ動く視界の中、ポケットからそのあたりに落ちていた端末が見えて。
それを拾い上げ、メッセージを確認する。
凭れているバスルームの壁から、ひんやりとした冷たさと固さが背に伝わって、
手元には、薬がばら撒かれたままで。
――端末を手にした肩が、熱を帯びて、ずきりと痛んで。]