− 嵐の海岸 −
[ほんのわずか、滑空するような感覚の後に、風の吹き荒れる場所に出た。
背後にうねるのは、シリーには存在しえない海。
黒々と逆巻き、岸を噛む。波の慟哭。
砂浜にはところどころ噴火口にも似た盛り土ができていた。
長虫の移動した痕跡であろう。
その大きさは、確かに脅威と呼ぶべきものだ。]
召喚する軍を勢子にして異形を突つき出そう。
わたしは重装歩兵を用いる。
貴君は?
[むやみに自分たちが駆け回るのではなく、長虫の方を追い立てる巻き狩りは、ソマリの体力を慮ったものであり、貴族的な流儀でもあった。]