─ 回想・2人が亡くなる少し前 ─
[ それはいつのことだったでしょうか。
巡回へ行く最中、あたしを呼び止めたのは
あの、尚書官長の補佐のひと。 ]
あっ、はい。
[ 共にいた兵には少し待つように伝え
リヒャルトの元へついて行く。
特段警戒などはしていなかったわ。
後に起こる騒ぎよりも前のことだったし、
あたしが宮内の人間を警戒する理由など
どこにもなかったんだもの
だから聞かれた質問にも
一瞬「何故?」という顔をしながらも
裏も読まずに素直に答えるの ]