[キッチンに付くと飲み物の用意をしながら、先程の赤い絵を思い出す。
あれは都会にいた頃、クララに赤ずきんの話を聞いた後。
触発されて描いた絵だ。
童話をしらなかった娘は、クララから童話を聞くのが好きだった。
色々な童話を聞いたが、特に興味を持ったのは『七匹の子やぎ』や『赤ずきん』、『三匹のこぶた』など、狼が出てくる話だった。
それらに出てくる狼は必ず悪役で、退治されてしまうのが複雑だった。
別に好きで襲ってるわけではないだろうに。]
…狼が幸せになれる話って、ないのかしらね?
[そう尋ねたことがあった。
その時、クララは何て答えただろうか。]