[ 三年前のただ一度の邂逅、けれど、短いその交流の中にも、確かに伝わるものがあった。
敵国の将と言っていい相手にも壁を作らず、奇縁を喜んだ青年の笑顔を懐かしく思い出す。>>22 ]
私は、花を見に来たのです。
[ あの時、自らのブリュノー来訪の理由を、ナイジェルはそう告げた。
クリフのように、率直に告げる事が出来ず、謎かけのようになってしまったのは、その花が最初から手の届かぬ高嶺の花である上に、余計な噂で傷一つつけてはならない相手だったからだ。 ]
今を逃せば、二度とは見られないと思いましたから。元気に咲いているのを確かめる事が出来て、安心して国に帰れます。
[ そう、あの日、確かに幸福そうに...彼の花は美しく咲き誇っているように見えたのだ。 ]