[緞帳が下りたようにふつりと闇一色に染まる景色の中、独り佇む静寂の姿が、闇に喰われたように消えてゆく。初めは左足の脹脛、次は右肩。右のわき腹、左の掌、右側頭部、左の上腕、左肩。不規則に、徐々に速度を上げて身体のパーツが欠けてゆくたびに、後には残滓のような霧が漂った。やがて完全に夜霧 静寂は無に還り、真の無音と真の闇が世界を満たす。始まりの重音が微かに響くのは、その刹那]